30代から考えるお金と住宅の学校|Houstory

ファイナンシャルプランナーで一級建築士であるお金と住宅の専門家が、30代に向けてお金や住宅に関する専門用語やノウハウ、お役立ち情報をお知らせするブログです。

持ち家と賃貸住宅を住まいの質から比較します

住宅に関する論争の中で、なかなか1つの結論に至っていないものとして、持ち家か賃貸住宅か、というものがあります。この論争に結論が出ないのは、住まいに何を求めるのか、各家庭によって考えが異なるためでしょう。

またこの2つをどちらが得かというお金の問題として見ることが多いのですが、その視点だけでは住まいの質という大切なものが見落とされがちです。本記事では、住まいの質という観点から、持ち家と賃貸住宅の2つの違いを比較します。

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平均世帯年収712万円の家族が住まい探し

厚生労働省発表の国民生活基礎調査によると、平成26年の一世帯あたりの平均所得は約541万円であったそうです。これは全世帯の平均ですので、児童のいる世帯だけでの平均は約712万円とのこと。そこで世帯年収712万円の家族が、住まい探しをするケースをモデルに考えてみます。

住宅ローンを借りて持ち家を購入

まず持ち家を購入しようとする場合、世帯年収712万円からいくらの住宅ローンが借りられるかを調べてみます。

一般的な住宅ローンですと、審査金利3.5~4.0%で、最大借入可能額を算出します。仮に審査金利4.0%で計算すると約4,690万円となり、実際の借入金利を1.1%とすると、毎月13.4万円の返済となります。

住宅購入資金として4,690万円を予算として、新築マンションや戸建て住宅を見ていきます。

新築マンションですと、例えば新宿まで電車20分程度の駅から徒歩圏で、60~70㎡の広さを購入することが出来そうです(立地により購入できる広さは異なります)。

一方新築戸建て住宅ですと、やはり同じような都心からの距離のエリアで、延床面積100㎡程度の建売住宅を購入できそうです。

住宅ローンの毎月の返済以外にも、マンションならば管理費や修繕積立金(月3~5万円程度)があり、戸建てならば自ら将来の修繕費(月2万円程度)を積み立てておく必要があります。

持ち家と同予算で賃貸住宅を借りる

持ち家の場合、毎月返済額の13.4万円に、仮に修繕費等で3万円かかるとすると、トータルで住宅費として毎月16.4万円となります。同額の予算で賃貸住宅を探してみましょう。

エリアにもよりますが、東京23区内でも16万円の予算があれば、80~100㎡の戸建て住宅が借りられそうです。また80㎡程度の新しいマンションの賃貸もありました。

賃貸住宅の場合、管理費や修繕積立金などはすべて家賃に含まれます。よって賃料以外に住宅費としてかかるものはありません。

住まいの質から2つを比較

毎月の住宅費と住まいのエリアや広さを比較すると、そこまでの大きな差はなさそうに見えます。そこで住まいの質に注目して2つの住宅を比較してみます。

まず持ち家の住まいの質は、一定以上のレベルが確保されていると思います。マンションでは分譲(持ち家)マンションと賃貸マンションでは、最初から建設スペックが異なります。分譲マンションでは、構造的な堅牢さや隣家への騒音、メンテナンスなど長く住む資産性が考慮されており、建設するマンションディベロッパーにとっても、分譲マンションは長きに渡りそこに建つことで、不具合が多い場合は自社のブランド価値にまで影響することから、一切の手抜きは出来ないものとされています。

これはマンションだけでなく、戸建て住宅においても同様で、特にハウスメーカーや注文住宅などは、長期優良住宅や認定低炭素住宅、省エネ住宅など、常に最新のスペックを達成しようとしています。

一方賃貸住宅は、投資利回りについても考える必要があるため、最新スペックを取り入れていない住宅が多いと思われます。投資利回りの観点から言えば、例えば最新の省エネ設備を入れることで、家賃が毎月1万円上げられるのであれば、オーナーも実施すると思いますが、それらが家賃に反映されることは少なく、現時点では賃貸住宅は最寄り駅からの近さや、住まいの広さや間取りという点だけで、家賃設定がなされていることが多いのです。

よって仮に同じ毎月の住宅費をかけたとしても、住まいの質という観点から考えた場合、持ち家のほうがより良い質の住まいを得られる可能性が高いと言えます。

持ち家と賃貸住宅の比較は、何度も繰り返し議論されてきたテーマで、特にトータルコストの観点から評価されてきたように思います。一方、住まいは長い時間を過ごす場所ですから、居心地の良さなど住まいの質も大切な要素です。コストだけでなく、住まいの質という観点から、住まい探しをされてみることをお勧めします。

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