30代から考えるお金と住宅の学校|Houstory

ファイナンシャルプランナーで一級建築士であるお金と住宅の専門家が、30代に向けてお金や住宅に関する専門用語やノウハウ、お役立ち情報をお知らせするブログです。

将来の売却を想定した家づくりのポイント

自宅を建てる時から、それを手放すことは想定していないと思います。しかし例えばご主人の急な転勤や転職、両親の介護や子供の進学といった家族の事情など、将来に何があるか予測できないものです。

もし少しの備えで、将来に自宅を売却する際の準備になれば安心ではないでしょうか。

今回は将来に自宅を売却することを想定して、いま考えておくべきことを整理したいと思います。

なぜ自宅を手放すのか?

まず考えるべきは、自宅を手放す理由です。例えば遠くに住む家族と同居するためだったり、海外赴任するため、もしくは住宅ローンの返済が厳しいためなど、人それぞれの理由があるでしょう。

しかし自宅を売却するという方法以外にも、賃貸住宅として人に貸したり、リバースモーゲージという仕組みを使い住みながら自宅を担保にして融資を受けるなど、他の選択肢もあります。

手放したい理由によっては、売却以外の理由を取るほうが有利なケースもあります。まずはなぜ自宅を手放そうとしているのかを、整理しましょう。

住宅ローンの残債を確認する

ここからは自宅を売却することになったケースをもとに考えていきます。

多くの人が住宅ローンを使って自宅を購入していると思います。まず売却手続きの前に、現在の住宅ローンの残債を確認しましょう。

住宅ローンの残債額は、住宅ローン契約時に金融機関から受け取っている返済予定表やネットバンキングで分かります。

特に繰上げ返済をしている人は、最初の返済予定表とは異なる残債になっていますので、確認が必要です。

住宅ローンの清算と売却手続き

売却する自宅を新たに購入する人は、購入する土地と建物に所有権を登記します。

売却する人の住宅ローンによる残債があると、金融機関の抵当権が残ったままになり、購入する人が登記できません。

ですので、売買契約が成立するまで、もしくは売買の手続きと同時に、住宅ローンの残債を清算する必要があります。

ここで1つ注意点があります。例えば残債が1000万円だったとして、900万円でしか売れなかった時、残りの100万円は現金で金融機関に支払う必要があります。

そうなると、自宅を売却した上で、現金も使わなければならなくなり、新しい生活への資金を減らすことになります。

売却時点での住宅ローンの残債額と、売却額のバランスをよく考えることが必要です。

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現金で補填しない方法は2つ

売却後の住宅ローン残債を現金で補填しなくてすむためには、何をすれば良いでしょうか。

方法は2つあり、住宅ローンの残債をなるべく早く減らしていく方法と、自宅の売却額を上げる方法があります。

繰上げ返済をして残債を早く減らす

住宅ローンを繰上げ返済することで、予定よりも金利負担を減らせたり、完済時期を早められるメリットがあります。

これには隠れたメリットがあり、残債を早く減らすということは、その時点の自宅の価値と住宅ローンの残債とのギャップを減らす、場合によっては価値のほうが上回ることが出来るのです。

自宅の価値を上げる

もう一つの方法は、自宅の価値を上げる、もしくは下がりにくくする方法です。

購入者にとって、価値が高い土地や建物であれば、高く買ってもらえる可能性が高まります。

土地の価値は、駅からの距離であったり、周辺の住環境に左右される部分があり、なかなか売却する人が改善できることは少ないかもしれません。

しかし建物は、建てる時点でしっかりと計画することで、価値を高める努力をすることか出来ます。

間取りや仕上げなどは、好みの違いもあるため、なかなか万人に受けるものを建てることは難しいかもしれません。しかし耐震性や断熱性などスペックについては、多くの人に訴求できるポイントです。

インターネットで中古住宅の情報を掲載するサイトにも、検索条件に、耐震性や長期優良住宅、フラット35適用などの選択肢があります。これらの条件で物件を絞り込んでいる人がいる、ということを表しています。

よって建物を建てる時に、耐震等級や長期優良住宅、フラット35の適用などの公的な証明を取得しておくことが、建物の価値を高める方法の一つでしょう。

長期優良住宅をフラット35で建てる

フラット35に面白いサービスがあります。「金利引き継ぎ特約付きフラット35」です。

www.flat35.com

これはフラット35で自宅を建てた人が、将来に売却する時に、最初に借りた金利そのままで、次の人がフラット35を借りることが出来る、というものです。

このメリットは、将来の売却時点で住宅ローン(フラット35も含む)の金利が現在より上がっていた場合に、他の物件を買うよりも低い金利で購入できることです。

例えば売却金額が3000万円の中古住宅を探した時に、その時点でのフラット35の金利が仮に2.0%だと毎月9.9万円の返済になります。

もし建てた時点でのフラット35の金利が1.35%で、それを引き継ぐと、毎月8.9万円の返済となり、毎月1万円も安くなるのです。

これを利用するためには、建てる時点で長期優良住宅の認定を取得しておく必要があります。フラット35で自宅をこれから建てようと考えている方は、長期優良住宅の取得を合わせて検討しても良いかもしれません。

※今後特約を付けるための条件が変わる可能性もあります。最新情報の確認をしましょう。

価値を維持できる建物を建てよう

少子化により家が余る時代がすでに来ています。その中でいかに価値を維持できるかという視点を、家を建てるときに持ちましょう。

価値を維持できる家=資産性の高い家は、将来の売却をするときにメリットがあります。それだけでなく売却前には、長期優良住宅などスペックの高い家に住むことができます。住んでよし売ってよしという2つのメリットを得ることが出来ます。 

長沼アーキテクツでは、長期優良住宅を始め、資産性の高い住宅を計画しています。ぜひご相談下さい。 

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