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特殊な土地を選ぶ時に気をつけるポイント 傾斜地編

都内の山の手や横浜など、坂の多い地域には、崖の上に建つ住宅を見かけます。土地が階段状に整地され、傾斜地を有効活用しています。

傾斜地は前も後ろも崖に囲まれていたりと、平らな土地に比べると、ちょっと怖い印象があるかもしれません。しかし土地の目の前が崖であれば、その分眺めが良く採光も豊かであったり、メリットもあります。

今回は、敷地内もしくは隣地との高低差がある傾斜地を購入する際に気をつけるポイントを書いていきます。

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傾斜地ケース① 傾斜地の一番上にある土地

傾斜地にも3つの種類があります。傾斜地の一番上にあるもの(丘の上のイメージ)、傾斜地の一番下にあるもの(谷底のようなイメージ)、傾斜地の中腹にあるもの(前後を傾斜地に囲まれているもの)です。

傾斜地の一番上にある土地は、光や風を遮るものがありません。そのため住環境としては安定している可能性が高いです。しかし注意点がないわけではありません。

土地の形状にもよりますが、その土地から下がる傾斜面までは上の敷地内に含まれていることが多いです。その傾斜面の管理は、上の土地の所有者に責任がありますので、例えば大雨による傾斜面の崩壊など、下の土地へ不具合がないようにしなければなりません。そのため、傾斜面を保護する擁壁などの維持管理をしっかり行う必要があります。

また自治体によっては、傾斜地の上に建物を建てる場合には、万が一傾斜面の擁壁が崩壊しても建物が倒れないように、杭などを設置するように求められることがあります。例えば下の土地との高低差が5mだった場合、5m以上の杭を打つ必要があり、建設コストのアップにつながります。

傾斜地ケース② 傾斜地の一番下にある土地

一方、傾斜地の一番下にある土地は、その土地自体が傾斜面を持っていないため、上に書いたような傾斜面の崩壊などの危険性はありません。しかし上の土地の傾斜面が崩壊する危険性はあります。

このような土地を購入しようとする場合には、まずは上の土地の傾斜面の状態をよく確認する必要があります。擁壁は作られた時期やその高さにより、工事の許可を得るための確認申請を提出している可能性があります。市役所に行き、擁壁の確認申請の記録が残っていれば、工事した当時の安全性は証明されていると言えます。

しかし工事当時はしっかりしていても、年月が経ち維持管理が不足していると、状態が良くない可能性もあります。これについては、土地を仲介する不動産会社に擁壁の安全性の確認をお願いしましょう。擁壁のチェックを建築士などに依頼してもらえるはずです。

傾斜地ケース③ 傾斜地の中腹にある土地

3つ目の種類は、傾斜地の中腹にある土地です。これは上で書いた、一番上にある土地と一番下にある土地の注意点が同時にかかってきます。

その土地の持つ傾斜面の管理状態をしっかりと確認し、下の土地へ危険性がないようにしつつも、上の土地が崩壊しないか状態を確認する必要があります。

3つの傾斜地に共通する注意点

傾斜地の種類に共通する注意点としては、やはり傾斜地を保護する擁壁の状態です。数十年前に作られたと思われる擁壁を、完全に安全とは言い切れないと思います。一方で擁壁を作り変えるには、大変なコストがかかります。土地を購入する前に出来ることは、擁壁の状態を確認しそのリスクを理解した上で、その土地を評価することです。

その他で共通する注意点は、大雨や地震などの自然災害時のリスクです。大雨が降ると傾斜地全体が川のようになる可能性があり、敷地内に侵入した水による浸水や、大雨により地盤がゆるむことによる傾斜地の崩壊、地震により弱っていた擁壁の崩壊などが考えられます。自然災害すべてを避けることはできませんが、例えば市役所で配布しているハザードマップを確認したり、過去に同じような災害がなかったか聞いてみると良いでしょう。

傾斜地だからこそのメリットを活かした建物計画

これまで傾斜地を購入する際の注意点を見てきました。平坦な土地にはないリスクはありますが、それだけではありません。傾斜地ならではのメリットもあります。

例えば横浜や神戸などの住宅地を電車から見ると、多くの建物にまんべんなく日光が当たっていることが分かります。都市部など隣家に囲まれた土地に建物を建てる場合、開けている道路側からだけしか日光が望めないことがあります。それが傾斜地では、敷地ごとに高低差があるため、それぞれの採光が豊かになるというメリットがあります。

また傾斜地の先端に建つ建物からは、開放的な眺望を得ることができます。目の前に隣家が建っていないため、眺めを邪魔するものはありません。

このように傾斜地にはリスクだけではなく、メリットもあります。リスクをしっかりと理解した上で、採光や通風、眺望などのメリットを最大限に活かした建物計画を行いましょう。そのためにも、傾斜地を購入する際には、ここに建てられる建物のイメージを共有できるパートナー(不動産会社の担当者や建築士など)と一緒に現地を見ることをオススメします。

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