30代から考えるお金と住宅の学校|Houstory

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特殊な土地を選ぶ時に気をつけるポイント 旗竿地編

都内などの密集地で土地探しをすると、よく見かけるのが旗竿地です。旗竿地とは、道路に接する幅が狭い路地のような形をしていて、それを奥に数メートル進むと、まとまった広いエリアがある土地を言います。

道路に接する路地状の部分は幅が狭いため、建物へのアプローチや駐車スペースなど限られた用途にしか使えません。そのため奥の土地にしか建物を建てられず、整形地に比べると建物の計画に制限があります。

今回は旗竿地を購入する場合に、気をつけるポイントを書いていきます。

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旗竿地はなぜ生まれるか

道路へのアプローチが路地状になる旗竿地は、なぜ生まれるのでしょうか。

一般的には、道路に敷地が面する長さ(接道長さ)が長いほど、人や自動車の出入りがしやくす、例えば庭を設けたときに道路とのつながりが作りやすいなどのメリットが考えられます。

例えばある所有者が売却した土地が50坪の広さであった場合で考えてみます。それを買い取りした不動産会社は「50坪だと売買金額が高くなり購入者が限定されてしまうので、2つに分けて25坪ずつにして売り出そう」と思うかもしれません。

そうなると、どのように2つに分けると売りやすいか、つまり将来の購入者が家を建てやすいかが、土地を分ける際に重要な点になります。

例えば50坪の土地を、道路に対してまったく同じく半分すると、どちらの土地とも接道長さが例えば5mなどになるかもしれません。そうなるとそこに建てられる建物が、道路に対して細長い建物になってしまい、住みにくい間取りになる可能性があります。

そのため、1つの土地は接道長さがしっかり取れた形とし、もう1つは路地状でアプローチし奥に広い土地にすることで、2つとも住みやすい建物を建てられるように想像して、土地の分割ラインを決定しているのです。

旗竿地に建てられる建物に制限がある

これは全国共通ですが、建築基準法で「建物を建てる敷地は道路に2m以上接する」ことが求められています。

その上で、旗竿地は例えば火事などの災害時に、敷地の奥から道路まで避難する際に、狭い路地上の敷地を通るために避難しにくいことが想定されるために、自治体によっては建てられる建物を制限しています。

例えば東京都では条例で、共同住宅や店舗などの特殊建築物の建築を制限しています(路地部分の幅や長さによっては、一定規模内での建築が可能です)。

これは想像すると分かりやすいのですが、例えば路地幅2mの敷地の奥に20世帯が入るマンションが建っていた場合に、もし火事などがあり住民すべてが一斉に避難しようとすると、幅2mの通路に20人以上が殺到し、うまく避難できない可能性があります。そのために、大人数が利用する建物を制限しているのです。

個人が利用する一戸建て住宅は、旗竿地では建築制限は受けませんので、その点は安心できます。

旗竿地ならではのコストがかかる

相場よりも安い金額で土地を買えたとしても、旗竿地ならではのコストがかかることがありますので注意が必要です。

 例えば水道管の引き込み長さが長くなることによるコストアップです。一般的には水道量を測るメーターボックスは、道路近くに設置されています。メーターから建物までは建物工事で行うことになりますが、旗竿地だとその管が長くなりますので、一般的な敷地よりもコストがかかります。

また電気の引き込みもケースによっては追加のコストがかかります。電気の引き込み線は通常ですと道路にある電線から線だけを分岐させて建物に引き込みます。しかし旗竿地は敷地の奥に建物が建っているため、引き込み線が長くなってしまいます。

電線ですので空中を一本で渡せる長さには限界があるため、ケースによっては引込柱という細い電柱のようなものを自分で敷地内に立てて、そこから建物にさらに電線を渡すことが必要になります。この場合は、引込柱の設置コストが追加でかかります。

また建物の工事費用にも、コストアップ要因があります。通常の敷地ですと、柱や梁など大きな材料を敷地内に入れる際にはクレーンなど重機を使います。しかし旗竿地では道路に止めたクレーンでは敷地奥まで届かないケースもあり、その場合は職人さんが人力で大きく重い材料を敷地内に運ばなければなりません。重機で行うよりも時間もかかりますので、それが工事費に上乗せになる可能性があります。

家を計画するときに注意するポイント

ここからは、一戸建て住宅を建てるときに注意するポイントを見ていきます。

まず路地部分の利用方法です。建築基準法により路地の幅は2m以上はあると思います。ただ路地に自動車を止めようと考えている場合は、路地幅は最低でも2.5mは必要でしょう。路地部分に自動車を止めた場合には、自動車の横を通って奥の家に出入りすることになりますので、例えば自転車を自動車の奥に置くことを考えると、路地幅が3mくらいあるとより良いです。

また旗竿地の奥の敷地は、4方向が隣家で囲まれていることが多いです。その場合、どうしても1階の採光や通風の環境が悪くなりますので、日中に人がいることの多いLDKを2階にするなどの、間取りの工夫が必要です。

旗竿地の特性を活かした建物を計画しよう

旗竿地は一般的には土地利用がしにくいために、近隣の土地相場よりも安く売られていることがあります。しかし路地部分に自動車や自転車スペースをうまく確保できれば、奥の土地に通常と同じような住宅を建てられます。その点から、奥の広い土地にいかに快適な住まいを建てられるかが、最も大切なポイントです。

相場よりも安く土地を買えた分で、例えば2階のLDKに大きな窓を付けて、大きな窓による熱損失をカバーするために断熱性能を上げるなど、旗竿地で得られるメリットとデメリットを合わせた総合的な計画を立てた上で、旗竿地を購入することをオススメします。

 

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