30代から考えるお金と住宅の学校|Houstory

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土地探しで注意すべき所有権と借地権の違いと見落としがちなポイント①

家を建てるための土地の権利には、土地を自分のものとする所有権と、地主から土地を借りる借地権の2つがあります。2つの権利には家づくりにふさわしいかという観点から様々な違いがあります。本記事ではこの観点から2つの権利の違いを解説します。

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大きく分けると土地の権利は所有権と借地権

土地を探し始めると、土地の権利には2種類あることが分かります。所有権と借地権です。

一般的に売買されている土地の多くは、所有権です。代金を支払い購入すると、その土地は購入者のものとなります。

所有権のメリットは自由に土地を使用し、いつでも処分することができることです。対して、デメリットとして土地にかかる税金(固定資産税や都市計画税)を支払う義務も生じます。

一方、借地権は土地を所有するのではなく、地主から土地を借りる権利です。借地権は売買市場に出る数が少なく、借地権にも地上権と賃借権などがあるため分かりにくく、馴染みがない人が多いと思います。

借地権のメリットは、所有権に比べて売買価格が低く、初期費用が少なくてすむことです。一方デメリットとしては、売買の難しさから資産価値が低く評価されることです。

家づくりに影響する、所有権と借地権の違いについて、税金、地代・更新料、住宅ローン担保評価、売却の4つの観点から、ポイントを解説します。

所有権と借地権の違い①【税金】

土地にかかる税金としては、固定資産税と都市計画税があります。

土地は固定資産(動かない資産)ですから、その土地がある市区町村から固定資産税が課税されます。税額は、市区町村の長が定める固定資産税評価額に、標準税率(1.4%)を掛けた金額になります。住宅用地には、軽減措置があります。

もう一つの税金である都市計画税は、都市計画法での市街化区域にある土地に対してかかる税金です。税額は、固定資産税評価額に、制限税率(上限0.3%)を掛けた金額になります。こちらには軽減措置はありません。

所有権の土地を持つ人には、2つの税金を支払う義務が生じます。一方、借地権はあくまで土地を借りる権利ですので、2つの税金は実際に土地を所有する地主が負担することになります。

所有権と借地権の違い②【地代・更新料】

借地権とは不思議な権利で、土地を借りるための権利です。借地権を購入した上で、さらに毎月の地代を地主に支払う必要があります。

地代の計算方法はいくつかありますが、一般的には上に挙げた土地に掛かる税金である固定資産税と都市計画税の合計の3~5倍を年額とし、それを12で割った額を毎月支払うことが多いようです。

また借地権には更新料があります。借地権にはいくつか種類がありますが、おおむね20~30年ごとに地主と契約の更新が必要になります。

更新料については、支払い義務はないなど諸説はありますが、借地権価格の5~10%などと言われています。

所有権の土地には、当然のことですが地代も更新料もありません。借地権の所有者は、地主に地代や更新料を支払うことで、地主が支払う税金を間接的に負担している、とも言えるかもしれません。

所有権と借地権の違い③【住宅ローン担保評価】

家づくりにおいて大切な要素として資金計画があります。住宅資金の多くを、金融機関から住宅ローンを借りてまかなう人が多いのではないでしょうか。

金融機関は、住宅ローンとしてお金を貸す代わりに、土地を担保とするため、抵当権を付けます。登記された所有権の土地には抵当権を付けることが出来るため、担保として正しく評価することが出来ます。

一方、借地権の土地には抵当権を付けることが難しいケースが多くあります。そもそも借地権が登記されていることが少なく、登記されていないものに抵当権を付けようが無い、ということがあります。

また抵当権が付けられない場合、金融機関が借地権の土地の地主に、承諾書の提出を求める場合があり、地主の協力なしには住宅ローンを借りなれない事態もあります。

フラット35では借地権への融資を対象としていると明記されていますが、すべての金融機関が借地権への融資を行っているわけではありません。

つまり借地権は所有権に比べて、住宅ローンの融資という視点から見た場合、制限された権利になるため、住宅ローンを借りづらいケースが多いと言えます。

所有権と借地権の違い④【売却】

土地を購入し家を建てたとしても、何かの事情で売却する可能性もあります。

所有権の土地や家屋付き土地は、一般的に流通しており、スムーズに売却することが出来ます(希望する価格で売却できるかは、土地や建物の価値によります)。

一方、借地権の土地は、上記に挙げたように住宅ローンの付きづらさがあるため、新たに購入する人にとっても、住宅ローンが使えない=購入できないことになります。

つまり借地権の土地は、所有権に比べて住宅ローンを使いづらいため、結果的に売却もしづらいことが多くなります。

今回は、所有権と借地権の違いについて説明してきました。次回は、実際に相談されたケースを使ってのトータルコストのシミュレーションをしてみようと思います。

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